ミーティングでは、話すことに劣らず聴くことも大切だ。「あなたをもっと成功させるために私は何をすればよいか」と質問することを、サットンは勧める。この質問は、自分が監督権者であることを示すと同時に、自分はチームをサポートするためにそこにいるのだと伝えるものでもあるからだ。

かつての同僚たちと親密な友人づきあいをすることはできなくなると、サットンもワトキンスも口をそろえて言う。

「以前と同じようなつきあい方を続けることはできない。これは誰にとっても残念なことだが、この種の昇進の切り離せない一部なのだ」と、ワトキンスは言う。友人づきあいを続けたら、えこひいきをしているように見られるおそれがある。だから、社交の場から身を遠ざける必要がある。たとえばチームのメンバーが飲みにいくときは、参加しないほうがよいだろう。超然とした近寄りがたい存在になる必要はないが、社交の場に顔を出す回数は減らしたほうがよい。

「少し寂しい思いがしたり、のけ者にされているように感じたりしていないとしたら、それはあなたが十分距離を置いていない証拠かもしれない」とサットンはアドバイスする。

少し違ったキャラクターに挑戦してみる

かつての同僚との新しいつきあい方を見つけ出さねばならないのだから、いくつかのことを試してみる必要があるだろう。

「最初からちゃんとできる人はいない」と、サットンは言う。彼が勧めるのは、フランスのビジネススクール・INSEAD(インシアード)のエルミニア・イバーラ教授が「ポッシブル・セルフ(ありうる自分)」と呼ぶものを試してみることだ。

自分のリーダーシップのとり方をほんの少し変えたパターンを試してみるのである。自分の人格やリーダーシップ・スタイルを大幅に変えるわけではなく、自分にとってうまくいくものを見つけるために、ひな型を試すわけだと、サットンは語る。