もう一度会社に行きたい
80代の男性の患者さんは肺がんと診断され、脳にも転移していました。治療は困難で余命2カ月と告知を受け、退院してたんぽぽクリニックの在宅医療を受けることになりました。退院時の患者さんは、活気もなく、ほぼ寝たきりで意思疎通も困難でしたが、自宅に戻ってからは徐々に表情がよくなり会話もできるようになって、「やりたいこと」を話してくれるようになりました。
それは「勤めていた会社にもう一度行くこと」でした。患者さんは父親から受け継いだメッキ工場で、専務として半世紀以上働き、従業員や取引先から信頼される存在でした。ほぼ毎日会社に顔を出し、休日には通常業務では手が回らない機械の修理をしていたそうです。患者さんは、やりたいことを実現するため、意欲的にリハビリに励み、やがて自力で立つことができるようになり、杖をついて庭を散歩できるようになったのです。
ここまでには、本人の努力はもちろんですが、妻の支えもありました。何より「もう一度会社に行きたい」という思いがモチベーションとなっていたのです。
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