「お金とか人とかぜんぶついてきちゃう」人

糸井さんから「はたらきたい展。」の会場に来ていたある女性を紹介された。ふわっとした茶髪の若い女性である。捨てられた動物を保護して、里親とのマッチングをしているという。糸井さん曰く「やんなきゃなんないということをとにかくやっちゃう人。そうするとお金とか人とか、全部ついてきちゃう」。と言われてもにわかにはよく呑み込めない。本人に話を聞いてみた。

年間300棟のイヌ・猫・ウサギを保護し、里親に届ける動物愛護団体、ランコントレ・ミグノン代表、友森玲子さん。“本業”は犬の美容師さん。

お名前を、友森玲子さんという。本職は犬のトリマー。ランコントレ・ミグノン(http://rencontrer-mignon.org/)という動物愛護団体の代表でもある。千葉と中野にある犬・猫・ウサギのシェルターを運営し、譲渡会を通じて動物たちを新しい里親の元に送り出している。友森さんが活動を始めたのは犬の美容室の開業資金を完済してから7年ほど前。身軽になったので何か新しいことをやりたくなったのだという。

常々ペットの殺処分について憤りを感じていたという友森さんは、自治体の動物愛護センターから可能な範囲内で殺処分される動物を救い出す活動を開始、まず都の認可をとり、最初は引き取った動物を店に保護した。その動物たちを見てお手伝いしたいと言うお客さんが少なからずいて、ボランティアの人数は徐々に増えて行った。そのうちお客さんの知り合いが千葉の土地を貸してくれることになり、持ち出しでシェルター用の建物もつくってくれた。今では愛護センターから連れ帰る動物も月に30頭ほどになり、シェルターをもう1カ所増やす予定だという。

今や彼女の元で150人以上のボランティアが年間200~300頭の動物を保護し、新たな飼い主のもとに届けている。運営資金はどこから出ているのかというと、動物たちを引き取った飼い主からの寄付、ホームページで活動を知ってくれた人からの寄付である。移動のための高速道路代や自宅で預かる動物のエサ代などの持ち出しがあるほかは、黒字でまわっているという。殺処分されるペットの数を減らすために、行政とも話し合って知恵を出し合っている。今後彼女が提供しているサービスへの公的なニーズはさらに高まるだろう。これだけのことが報酬なしで行われているというのはびっくりするし、反面、これほどニーズのある仕事をボランティアに頼っていていいのかという気もする。