去る6月6日は、『ほぼ日刊イトイ新聞』の15歳のお誕生日だった。お祝いにどら焼きを提げて、同社が開催している「はたらきたい展。」(http://www.1101.com/parco2013/ 渋谷PARCOパート1・6/16まで開催)を訪れた。

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お金の価値が下がっている!?

――ノマドは究極的には「スペース=空間」があってネットに接続できさえすればどこでだって仕事はできる、という発想だけれども人が集える場や、その環境や利便性が仕事のアウトプットに与えている影響というものは軽視できないという話だ。ノマドの話も含めて、「働き方」についての議論がこれほど盛んになった背後にあるものは何なのか?

働き方というテーマ、注目されていますよね。いつまでも働き方の本を読んで働かないバカとか、どうやって働くか考えてるんだよって言いながら働いてないヤツとかも、いるんでしょうね。なんでこうなったか。たぶんそれは単純にお金だけで仕事の価値がはかれなくなったからでしょうね。昔だったらいくらくれるからここを選ぶ、という基準があった。今は報酬の金額だけで仕事を選ばない。潮流としてお金の価値が相対的に下がってきたということがあるわけです。

いちばん大きいのは、すごい企画があったらお金はあとで集められるようになったということでしょう。昔だったら銀行に借りるしかなかったけれど、今は若い人でも直接にお金を集められる方法がある。それがわかって、お金の意味って変わったと思うんですよ。昔はまずお金ありき。今はアイデアありき。その企画が面白いとか、その事業だったら俺は出すよとか、失敗するかもしれないけど手伝おうかと言いだす人がいればお金はあとからついてくる。お金を後回しにできるようになったことが働き方にも影響していると思いますよ。

いくらくれるの? といって動くんじゃなくて僕の可能性を広げてくれるところにいきたいとか、僕がチームの可能性を広げたいとか。普通の人がサッカー選手みたいな発言をするようになっていますよね。昔だったらイビり倒されそうなやつが「これからは強い個だ」とか言って、まわりもそのとおりだと納得している。ああいうことが社会全体に伝染るわけです。でも一方でその「個の力」を支えるインフラは、ネクタイつけた人が、ノマドじゃないタイプの人たちがやっている。才能のある選手たちによい環境を与えたり、彼らが注目される状況をつくったり、チームをきりもりしたりする、いわゆる経営をやっている人たち。マネジメントも実はものすごくクリエイティブで、両方で面白いチームになっているじゃないですか。僕はああいう形をずいぶん見本として動いています。