支給されても税負担が増える

「借り上げ社宅」にしたら、手取りが月9952円増えた!
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「借り上げ社宅」にしたら、手取りが月9952円増えた!

会社が社員の住まいに関して何らかの援助を行う場合、大別すれば「モノ」の提供か「金銭」の支給ということになります。

つまり、会社が「社宅」の形で実際に住居を用意するか、それとも「家賃(住宅)手当」の名目で金銭を給与に上乗せ支給するかどちらかです。

後者の場合は、社員が住居を自主的に決めて家賃も自分で払っている状況の中で、会社が金銭的に「住宅手当」として補助をするケースです。

この「住宅手当」は日本の会社においてはごく一般的な制度ですが、給与として扱われて課税されます。社員としては、せっかく上乗せしてもらっても、所得税や住民税、さらには年金や健康保険など社会保険の算定基礎額まで増えてしまうというわけです。

一方、「社宅」の場合は、会社が社員から一定の家賃さえ徴収していれば、給与課税はされません。つまり住宅の提供という形で会社から恩恵を受けても、このケースでは給与として換算されて課税されることはないのです。

「一定の家賃」とは、「家賃の基準額の50%以上」です。それだけの金額を社員が家賃として負担すれば、課税されないで済むことになっています。ここでいう「家賃の基準額」とは、(その年度の建物の固定資産税の課税標準額×0.2%)+(12円×その建物の総床面積平方メートル/3.3平方メートル)+(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%)という式で算出することになっています。おおよその目安ですが、社員が負担すべき家賃は、本来の家賃相場の半分以下で済む、と考えてさしつかえありません。

この場合の社宅とは、会社の所有物件にかぎらず賃貸物件であっても構いません。

たとえば、会社が第三者から月額家賃10万円で賃借し、それを社員に社宅として提供する、いわゆる「借り上げ社宅」の場合、社員からは前記の基準額(仮に7万9000円とすると)の50%以上、たとえば4万円を家賃として徴収すれば、社員は給与課税されないのです。

細かい条件は脇において、わかりやすく比較してみましょう。(1)サラリーマンであるAさんが自前で家賃8万円の賃貸住宅に住み、会社からは4万円の住宅手当を受け取る。(2)会社がその家を社宅として借り上げて家賃10万円を大家に払い、社員のAさんからは4万円を徴収する。

「借り上げ社宅」にすれば、非課税にできる

「借り上げ社宅」にすれば、非課税にできる

(1)と(2)、Aさんにとってどっちがお得になるでしょう?

住宅手当が上乗せされるぶん月収は(1)のケースのほうが4万円多くなりますが、収入増によって収入から天引きされる所得税や社会保険料も増えてしまいます。自己負担する家賃額まで計算に入れれば、最終的に手取り額は(2)のほうが上ということになるのが一般的です。会社側も、社宅提供の費用を福利厚生費にできるうえ、負担する社会保険料も少なくて済みます。

「住宅手当」という習慣がない外資系企業の社員などは、入社時に会社と交渉するなどして給与部分を低く抑える代わりに社宅を提供してもらって節税をしている場合もあるようです。

ただし、社宅はあくまで会社が契約した物件を社員に提供するのが前提。社員が自分で気に入った家を個人的に契約してしまったあとで、会社に「これを社宅にしてほしい」と願い出ても社宅とは認められません。

(構成=小山唯史 撮影=坂本道浩)