指名・公募を含む受験者はおよそ40人。その中から16人が選抜されるが、さすがに指名組の合格者の割合が高かったという。
11カ月間の研修では、座学を中心とする経営リテラシーの学習以外に、前半はグループ企業の1社を選定し、インタビューなどフィールドワークによる企業研究を行い、経営課題の解決に向けた提言を経営陣に発表する。後半はグループ全体の課題を研究し、最終的にホールディングスのボードに提言するという極めて実務的な内容になっている。
修了後は研修中の能力や適性を踏まえ、経営戦略部門や事業企画部門などに経営職として配置する。その場合、出身企業・部署をまたいでの異動も珍しくない。
「各事業会社のトップとホールディングスの間で、グループの経営資源はグループ最適で考えることで合意している。全員ではないが、たとえば営業一筋の社員が修了後にホールディングスのスタッフとしてグループ全体の仕事をしているケースもけっこうあります」(三好部長)
また、経営人材の育成と並行してグローバル経営人材の育成を目的とするグローバルマネジメントプログラム(GMP)も設置している。こちらも指名と公募で選抜され、1年間の研修を受講する。講義はすべて英語で行われるため、相応の英語力が求められ、応募時に「TOEIC650点以上」という条件が設定されている。卒業後に海外法人のトップとして赴任するケースも珍しくない。
「GMPの卒業生は60人いるが、十数人はすでに海外に出ています。日本で課長、担当部長クラスの人が海外で社長に就くケース、管理職候補者が管理部長として赴任するなど海外で活躍するチャンスが増えています」(三好部長)