肝心なことは、命令や指示を出す側が、相手にちゃんと「約束を守らせる言い方」を最初から工夫することです。

長い間、はっきりと主旨を明示しない「暗示文化」の中で、仕事や生活をしてきた日本人の多くは、グローバル化の今、世界の「明示文化」の中で「きちんと伝わらない」という悩みを抱えています。江戸時代から「ぬかにクギ」「のれんに腕押し」「豆腐にかすがい」などというダメ押しの難しさを抱えているのが私たちです。

人の上に立てば立つほど、気弱な部下やひと癖ありそうなライバルに、より有効なダメ押しや指示、訂正要求をする工夫が必要です。

相手の性格別に効率よく「クギ」を刺す

「何を指示したいか」という内容が定まったところで、まずやるべきことは、「相手がどんな性格か」をきちんと見抜くこと。見抜いたうえで、「相手のタイプ別有効クギ」をタイミングよく刺していくことが大事です。

何をどう言っても、「1を聞いたら10を知る」という具合に上司の胸中をよく察して、指示以上によく仕事をしてくれる人は今回省略するとして、クギ打ち作業で何かと気を使わねばならない多くの社員を、次の5つのタイプに分けて見てみましょう。

(1)打たれ弱い人

どちらかというと「内向性タイプ」が多く、日頃見ていても気弱な感じのする人々です。内向性・外向性の心理テストによってピタリと答えは出てきますが、日頃の会話中の声の大小、人に話しかける回数の多少、相手を見つめるときのアイコンタクト(見つめている方向性×長さ×上まぶたの筋肉の張り)の強弱などをよく見ていれば、すぐわかります。

このタイプに「君のやり方はまずい」と正面から言ったり、あまりに大きな案件を期限付きで指示したりすると、それを重荷に感じてストレスとなり、つぶれてしまいます。やんわりと言葉をかけましょう。