健康で長生きするにはどうすればいいのか。国際医療福祉大学三田病院糖尿病・代謝・内分泌内科 部長/同大学医学部教授は「テレビで紹介された“からだにいい食品”に飛びつく人がいる。残念ながら毎日食べ続けても健康にはなれない。何を食べるかより、どう食べるかのほうが大切だ」という――。(聞き手・構成=医療・健康コミュニケーター高橋誠)
坂本昌也医師
撮影=プレジデントオンライン編集部
坂本昌也医師

「ヨーグルトを食べれば健康になる」と信じる人の落とし穴

本連載第1回では、50歳を過ぎたら「絶対に受けるべき検査」と「取り組むべき3つの習慣」について、第2回では、「悪玉血液」の恐ろしさについてお話ししました。今回は、その続編として「健康になる食品」の残念な食べ方を解説します。

厚生労働省によると、毎年30万人以上の方が心疾患と脳血管疾患で亡くなっています。多くは悪玉血液を育む生活習慣により、血管がボロボロになり、動脈硬化が進行してしまったことが原因です。血管は年齢とともに硬くなり、狭くなって詰まりやすくなります。

食生活の改善によりその進行を遅らせ、若々しい血管を保つことは可能です。ヨーグルト、納豆、オリーブオイル、アマニ油、オートミール、ナッツ……からだに良いとされ、もてはやされている食品は数多く存在し、確かにそれぞれ優れた栄養成分を含んでいます。

しかし、それだけで「健康を維持できる」と考えるのは、やや短絡的です。「腸活のために毎日ヨーグルトを欠かさない」「朝は必ずフルーツとグラノーラ」「ナッツとオートミールで完璧」――こうした食生活をしている人の中にも、実は血液検査の数値が芳しくない人がいます。

ある50代女性のケースでは、毎朝「ヨーグルト+はちみつ+果物+グラノーラ」を欠かさず摂っていました。一見、非常に健康的ですが、血液検査では中性脂肪が高く、HbA1c(血糖値の指標)もやや高め。詳しく聞くと、「甘いヨーグルトが好きで時にジャムも加えてしまう」とのこと。

「何を食べるか」より「どう食べるか」が重要

せっかく健康にいいヨーグルトを食べても、そこにジャムをたっぷりかけたら、糖分過多で台無しです。ヨーグルトは腸内環境を整える食品として優れていますが、そこに糖分を過剰に添付してしまっては、むしろ悪玉菌の増殖を招きます。「甘いヨーグルト習慣」の見直しは必須といえるでしょう。からだに良い食べ物も、「何を食べるか」よりも「どう食べるか」の方が重要です。

また、ヨーグルトを食べることを習慣としていて、いつまでも元気な人は、本当に「ヨーグルトを食べること」だけが原因で、健康を維持しているのでしょうか。実は、それ以外にも健康習慣を多く実践していることが多いのです。食事面のみならず、生活全般でからだによいことを無理のない範囲で取り入れている。だから健康を維持できるのです。