「メキシコ債務危機」が世界を襲った

当時のメキシコは、景気の後退、急速なインフレ、そして経常収支の赤字といった経済の三重苦にあえいでおり、国内経済は著しく疲弊していました。この状況下で、メキシコ政府は自国通貨ペソの大幅な切り下げを実施したものの、それによって輸入品価格が高騰し、国民生活にも深刻な影響を及ぼしました。外貨建てで膨らんだ対外債務の返済負担は重く、もはや自力では対応できない状況に陥っていたのです。

こうした危機的状況の中で、メキシコ政府は緊急の経済再建計画を策定。銀行債権団と交渉を重ねた結果、債務返済期限の延長に合意を取り付けました。同時に、BISやアメリカ連邦準備制度(FRB)、IMFなどから新たな資金支援を受けることにも成功し、同国はようやく対外債務の再編に着手することができました。

この一連の事態は「メキシコ債務危機」と呼ばれ、その影響はメキシコ一国にとどまらず、広く中南米諸国やその他の新興国にも波及していきます。多くの国が、石油危機後の低金利環境下で膨張した外債を抱えており、金利の上昇やドル高の進行とともに返済能力を失っていったのです。