ジャンルを問わず、実力の傑出している者の陥りがちな落とし穴に、「無暗に敵をつくってしまうこと」がある。それどころか、作ってはいけないライバルを自ら育んでしまうケースさえあるのだ。項羽は、まさしくその1人だった。

前209年の「陳勝呉広(ちんしょうごこう)の乱」をきっかけに、各地で叛乱が続発するのだが、やがて天下の形勢は、「秦vs復興された昔の国々」という図式に固まっていく。