喜多川歌麿の秘密の過去

蔦重が「色ってほんと疲れるもんですよね、男にしろ女にしろ」というと、いねは「そりゃそうさ。だから男は腎虚になるし、女は早死にする」と返した。蔦重が「体を売る暮らしが好きだった人はいますかね」と聞き返すと、いねは「たまにいるのは、罰を受けたい子だね」と返答し、続けた。

自分のせいで恋人や親が死んだ、という子のなかには、「自分はひどい目に遭って当然だからこの稼業も好きだ、ありがたい、って言いだすのもいたよ。自分なんて早く死んじまえばいいんだって、いってたね」とのことだった。蔦重のなかで、いねの説明が男娼に甘んじている捨吉と重なったのだ。

だが、捨吉の境遇がわかる前に、戯作者の朋誠堂喜三二の場面がはさまれた。松葉屋の花魁、松の井(久保田紗友)と床にいて夢を見るのだが、「好色の気」によって生み出された大蛇が暴れた挙句、最後はいねが刀で大蛇の頭を切り落とす、という内容なのだ。大蛇が喜三二の「筆」にたとえられているのはいうまでもない。