スーパーが「冷蔵庫代わり」だった

日本の消費者が鮮度にうるさい、ということは今でも言われることですが、その背景は一説では、当時、世界一魚を食べる消費者であったから、と言われています。ご存知の通り、魚は鮮度劣化が早いため、消費者は鮮度に対するチェックが厳しく、その感覚で野菜や肉類もチェックしていました。また、日本の都市部は、人口が密集していて、店舗までの距離が短いこともあり、スーパーを「冷蔵庫代わり」にして毎日買物に行く、という習慣もありました。こうした背景もあって、スーパー業界では、鮮度を優先するインストア加工を基本とした日本型スーパーが標準となりました。

食料品店で野菜を選ぶ男性
写真=iStock.com/Yagi-Studio
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日本型食品スーパーは、インストア加工を採用して鮮度を優先したため、効率性は不十分な仕組みとなりました。その結果、日本のスーパー業界では規模の利益が十分働かず、欧米のような大手小売業による寡占化が進みませんでした。地域毎に地元のスーパーが頑張っていて、地域食文化を支えている、という状況は、日本ならではのものなのです。

しかし、こうした労働集約的な店舗運営は、デフレが長く続いた平成の時代には温存されてきましたが、インフレ環境に転換した今、高騰する人件費や人手不足で採算が合わなくなりつつあります。日本型食品スーパーも生産性向上に向けた変革を迫られるようになっているのです。