「米国が他国から搾取されてきた」

米国は、世界一の経済大国で、軍事大国でもある。戦後、自由貿易体制を作って世界経済を牽引し、1990年代以降、産業構造の重心を製造(ものづくり)から、金融とITに移し、その独り勝ちで巨大な富を米国にもたらした。トランプ政権の閣僚にはビリオネア(10億ドル以上の資産を持つ人)が5人もいると聞く。

だが、トランプ氏は違う景色を見ている。「米国が長年、他国から搾取されてきた」という被害妄想に近い認識を有している。米国は関税率を下げて市場を開放したのに、中国など他国は関税や非関税障壁によって米国製品の輸入を阻んできた結果、米国の貿易赤字は、30年間で10倍に膨れ上がった、と捉えているのだ。

米国の2024年の貿易赤字は史上最悪の1兆2117億ドル(175兆円)に達した。国・地域別では中国が2954億ドルで最も大きく、メキシコ、ベトナムなどがこれに続き、日本は685億ドル(9.7兆円)で7番目だった。