9月26日の元秘書の裁判の判決に続き、10月6日には自らを被告とする刑事裁判が始まるなど民主党の小沢一郎元代表がいよいよ正念場を迎える。

民主党代表選挙で連敗した小沢氏に対し、小沢グループ内では「小沢さんが推す候補は代表選では勝てないことがはっきりした」といった批判が出始めており、小沢氏の神通力の低下は否めない。

小沢氏は代表選挙で野田佳彦代表に敗北した後、求心力を維持するために一新会、北辰会などの小沢グループの一本化を検討。民主党の他のグループとの掛け持ち禁止を打ち出したが、「グループを一本化したら締め付けが厳しくなり息苦しい」「小沢グループだけでは民主党代表選で勝てないのに、締め付けたらさらに仲間が減るだけだ」といった反発が相次ぎ、断念せざるをえなかった。

「一本化の代わりにグループ全体の勉強会を行うことにし、小沢さんに会長をやってもらうことになった。“太陽政策”でいく」(小沢グループ若手議員)というが、このままではグループ内に鬱積する不満がいずれ「小沢離れ」の動きとして表面化することは避けられない。

そんな小沢氏の頼みの綱は、小沢氏と近い輿石東幹事長の存在。輿石氏は幹事長に就任するや、小沢氏の元秘書である樋高剛衆院議員を選挙と陳情担当の副幹事長に据えた。陳情処理は集票と献金に結びつき、選挙も議員にとって死活問題。その両方を小沢側近に委ねる輿石氏の気遣いは並大抵ではない。

元来、党内には陳情要請対策本部があるが、本部長に就任した輿石氏は反小沢の前原誠司政調会長と、先の代表選で反小沢に回った樽床伸二幹事長代行を本部長代行に据え、一応バランスを取った。

「ただ、前原氏は陳情に興味なし。陳情処理の実務を中心的に取り扱う対策本部事務局長に樋高副幹事長が就いたので、今後は樋高氏と小沢側近の鈴木克昌筆頭副幹事長ラインで陳情を仕切ることになる。すでに北陸経済連合会が北陸新幹線延伸問題で、震災対策関連で四国からも鈴木氏が陳情を受けていた。今後の焦点は年間170億円(2010年)の政党助成金など巨額の党資金を、小沢氏が輿石氏を通じて差配できるかどうかだ」(全国紙民主党担当記者)