なぜインターネットで 間接資材を売り始めたのか

モノタロウはeコマースの黎明期だった2000年に「資材調達ネットワークを変革する」という志を掲げて創業し、今年で25年目の節目を迎えます。24年度の売上高は2881億円、取扱商品は2475万点を超えました。私の職業人としての歩みは、ほぼモノタロウの成長の軌跡と重なります。

私は大学卒業後に住友商事に入社し、25歳で社内ベンチャープログラムのメンバーに任命されました。モノタロウの前身である「住商グレンジャー」を創業したのは瀬戸欣哉さん(現リクシル社長)で、インターネットを活用した新しいビジネスを興すのが、我々のミッションでした。

モノタロウ会長・鈴木 雅哉 1975年、埼玉県生まれ。98年、立教大学社会学部社会学科卒業後、住友商事入社。2000年、モノタロウに出向。06年、株式上場と同時に住友商事に戻るも楽天に転職。07年、モノタロウに入社。12年就任の社長を経て24年より現職。
鈴木 雅哉(すずき・まさや)
モノタロウ会長。1975年、埼玉県生まれ。98年、立教大学社会学部社会学科卒業後、住友商事入社。2000年、モノタロウに出向。06年、株式上場と同時に住友商事に戻るも楽天に転職。07年、モノタロウに入社。12年就任の社長を経て24年より現職。

瀬戸さんは、突き詰めるとインターネットの本質は「検索」であるという一つの結論に達しました。ネットが進化すれば最も便利になるのは「探す」作業です。「では、産業界で“探せる”強みが最も生きるビジネスとは何か」と深掘りしていき、間接資材を扱う事業に行きついたのです。

最初の6カ月、寝る間も惜しんで担った作業は今も忘れません。4000ページはあろうかという紙の商品カタログをかき集め、30人ほどのアルバイトと一緒に掲載商品を分類し、品番やサイズなど必要な情報を抽出、手作業でエクセルに分類、入力していったのです。

そうやってまだ“紙芝居”ではありながらも、「インターネットでモノが買える体験」を実現したわけですが、最初から思い描いたとおりのビジネスが実現したわけではありません。例えば、モノタロウは当初、大企業向けの購買システムを想定していたのですが、1年ほど試験運用した結果はあまりうまくいきませんでした。

大企業は大量に資材を調達するため、既存の仕入れ業者は営業コストを抑えながら薄利多売のビジネスができました。大企業も必要なモノを検索・発注できる我々のシステムに興味は示してくれるものの、通信速度は遅く、在庫もなく納品に時間がかかり、取り扱う商品自体を差別化できていなかったため、なかなか導入してもらえなかったのです。

そこで、中小企業向けの販路を模索したところ、大きな需要を見つけました。中小企業は調達量も金額も小さいため、大企業向けに比べ割高な価格設定がなされていました。我々はインターネットを活用してコストを下げられるので、誰に対してもワンプライスで販売できます。この方針転換が最初のブレイクスルーであったと思います。

いち早く機械学習を 導入できた理由

08年の機械学習(マシンラーニング)導入も、成長のステージを一段押し上げるきっかけになりました。

我々の顧客は、一般消費者ではなく、事業者の方々です。お客様の事業内容が変わらない限り、必要とされる商品には一定の傾向が生じます。また、類似する事業のお客様も、同じ商品を求める可能性が高い。そうしたことをデータ分析し、お客様それぞれが必要だと予測される商品をお勧めして、成約に結びつけていったのです。

なぜそれが08年だったのかというと、コンピュータの性能と通信速度が飛躍的に進化して、扱えるデータ量と処理速度が一気に向上したからです。従来の統計解析ソフトが1~2カ月かけて導き出していたスコアを、ものの数時間で、しかも日時単位で導き出せるようになりました。