スマートフォンにAIが本格的に搭載され始めた。なにができるようになるのか。どう活用すべきなのか。ITジャーナリストの三上洋氏に聞いた。
スマホで生成AIを利用している女性の手元
写真=iStock.com/nuttapong punna
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「格安スマホ」でも機種を問わず利用可能に

iPhoneの「Siri(シリ)」や、アンドロイドスマホの「Googleアシスタント」は、比較的シンプルな回答には対応するものの、質問内容によっては求めている答えが返ってこないことも多かった。

ITジャーナリストの三上洋氏は「生成AIによって、そんなスマホのアシスタントが大きく進化し、まるでプロの秘書のように生まれ変わろうとしている」と指摘する。

「アンドロイド端末では、2024年秋から音声アシスタントとしてグーグルの生成AI『Gemini(ジェミニ)』が利用できるようになりました。設定を切り替えると、従来のアシスタントに代わってジェミニが音声で回答し、従来のアシスタントが回答できなかったような質問にも答えるようになっています。例えば、天気を確認するだけならこれまでも可能でしたが、『どんな服を着ていけばよいか』というような問いには答えてもらえませんでした。これに対してジェミニのアシスタントでは、天気や気温に基づいた服装の提案までしてもらえるのです」

ジェミニはアンドロイドのスマホであれば基本的に機種を問わず利用可能となっている。いわゆる「格安スマホ」でも使えるという点は魅力だろう。

iPhoneでは、アップルが同社のデバイス向けに提供するAI「Apple Intelligence(アップル インテリジェンス)」の一機能として、シリとチャットGPTの連携が始まっている。

「こちらはアンドロイドのように標準アシスタントを完全に置き換えるのではなく、質問内容によってシリで回答するのか、チャットGPTが対応するのか振り分けられる形式となります。例えば、『明日の天気』のような従来のシリでも回答できたものには引き続きシリが対応し、『体脂肪を減らすために効果的な運動は?』といった従来のシリではウェブ検索の結果が表示されるだけだったものに対しては、チャットGPTが回答するといった具合です」

タスクの実行まで担う「AIエージェント」

チャットGPTを利用するかどうかはその都度確認が行われ、ユーザーが承認した場合に限って回答がチャットGPTに任される。日本では4月から提供開始が予定されており、アップルインテリジェンスに対応した比較的新しい機種で利用できるようになる。

そして、今後はスマホのアシスタントがさらに進化し、まるで自分専用の秘書のように動いてくれるようになるという。三上氏は、その可能性についてこう語る。

「今年一番注目されているAIの利用シーンは、AIエージェントです。これまでのチャットGPTやジェミニなどの生成AIは、基本的には聞かれたことに答えるだけのものでした。それに対して、AIエージェントはタスクの実行まで含むものとなります。例えば、『新幹線を予約しておいて』と指示すれば、新幹線の時間を調べ、予約サイトへの情報入力までしてくれるようになるので、ユーザーは予約の最終確認のボタンを押すだけでいい。ビジネスシーンでの活用なら、レポートを作成した後に内容をスライドにまとめ、出来上がったものをメールで送るまで実行してくれるようになるでしょう。ユーザーが個別に行っていたことを、一連の作業として実行できるようになるのが大きな強みです」

AIエージェント機能をスマホにいち早く搭載したのが、サムスンの「Galaxy(ギャラクシー)」だ。25年2月に発売された最新モデル「Galaxy S25」シリーズには、端末のアシスタントとして搭載されたジェミニと他のアプリを連携できる機能が搭載されている。例えば、音声で「上野駅周辺の会食に利用できる日本料理店を、予算1人8000円以内で探して、その結果を○○さんにメッセージで送って」と指示した場合、まずはジェミニが条件に一致する店舗を探し、公式サイトなどのリンク付きで回答する。ここまでは通常のチャットGPTなどでも実行可能な作業だ。