厚労省が発表した「外国人患者の受け入れ実態」
厚生労働省では、昨年(24年)3月以降の医療機関の外国人受け入れ状況の調査結果を発表しています。
これによると、医療機関における訪日外国人患者および在留外国人患者の受け入れ実態についても詳細な調査が始まっています。訪日外国人患者(医療渡航を除く)の受け入れについて医療機関に聞いたところ、外来患者のべ数では「1名以上あり」と回答した医療機関が16.2%、「なし」と回答した医療機関が67.0%となっています。
医療機関の種別で見ると、受け入れ状況に差があります。救急医療機関では外来で「あり」が20.6%、「なし」が63.1%であり、入院では「あり」が4.6%、「なし」が78.7%となっています。拠点的な医療機関では外来で「あり」が31.7%、「なし」が53.1%、入院では「あり」が8.0%、「なし」が76.5%となっています。特に外国人患者受け入れ医療機関認証制度を受けた医療機関(JMIPもしくはJIH認証医療機関)では外来で「あり」が60.3%、「なし」が30.9%と高い受け入れ率を示し、入院でも「あり」が22.1%、「なし」が69.1%となっており、国際化対応を進めている医療機関ほど外国人患者の受け入れが進んでいることがわかります。
在留外国人の総未払い金額は3億円以上
病院における外国人患者の医療費未払い問題も深刻です。病院に対する調査では、未払いのあった外国人患者数について、訪日外国人(医療渡航除く)では「1名以上あり」と回答した病院が6.8%、在留外国人では「1名以上あり」と回答した病院が17.1%となっています。実際の未払い者数は訪日外国人(医療渡航除く)で総数270人、平均人数2.86人、在留外国人では総数1086人、平均人数4.57人となっており、在留外国人の未払い問題がより深刻であることがわかります。
未払い金額について見ると、訪日外国人(医療渡航除く)の1医療機関あたりの未払い金額の平均は約220万円、在留外国人では年間約154万円となっています。調査対象となった医療機関44カ所だけで見ても訪日外国人(医療渡航除く)の総未払い金額は約1億9600万円、在留外国人の総未払い金額は約3億1900万円に達しており、医療機関の経営に無視できない影響を与えています。