通信環境が整えば、暮らしや働き方が大きく変わる

しかしながら、このような遠隔操作技術にはいくつか解決すべき課題も存在します。

まずは通信インフラの整備が挙げられます。最近では4Gなどのすでに普及した通信方式で安定した作業ができる技術も増えてきていますが、遠隔操作をおこなうには高速かつ遅延の少ない安定した通信環境のほうがよいことは間違いありません。

特に、災害時や過疎地ではインフラが整っていないことが多く、これがひとつのボトルネックとなる可能性もあります。

また、遠隔操作にはデータ通信が伴うため、サイバー攻撃などによる情報漏洩やシステム障害への対策も重要です。信頼性と安全性を確保するためには、高度なセキュリティ対策が求められるのです。

そして、これらの課題を解決しながら、私たちの生活はもっと便利で安全なものになると期待されます。

たとえば、5Gやその先の6G通信技術が普及すれば、より高速かつ安定した通信が可能となり、遠隔操作の精度と信頼性が大幅に向上します。

医療分野だけでなく、教育や労働現場でも遠隔技術の応用が進み、多くの人々がその恩恵を受けることとなるでしょう。遠隔操作技術は、私たちのくらしや働き方の未来を変える大きな力を秘めているのです。

時給1800円!遠隔操作オペレーターの増加

ロボットは仕事を奪うのでしょうか。決して、そんなことだけではありません。

ロボット導入の加速により、「遠隔操作オペレーター」という新たな職業も登場しています。

この職業は、日本やアメリカなどでも急速に求人が増加しており、日本では時給1500円、夜間は1800円などというアルバイトとしては高い条件で募集されていたりもします。このような状況は、新しい働き方の象徴とも言えるでしょう。

では、この遠隔操作の仕事に向いているのはどんな人々でしょうか。それが意外にも「ゲーマー」なのです。

部屋でゲームをする人
写真=iStock.com/gorodenkoff
※写真はイメージです

ゲーマーは、ゲームで培った反射神経や、複数のタスクを同時処理する能力、そして先を読んで動く力を持っています。

もちろん、想定外のピンチでも動じることはありません。これらの能力は、遠隔操作の仕事にぴったりであり、ゲームの世界で培ったスキルが、新しい職業に活かされるというのは、まさに現代ならではの話です。

実際に、ゲーマーがゲームと同じようにコントローラーを握り、遠隔操作ロボットのオペレーションで活躍しているという話も聞きますし、このようなスキルセットは、今後ますます需要が高まると予想されます。