働き手にとって「厳しい話」は封印

提言には「外部労働市場と比較して見劣りしない報酬水準」とか「納得感があり成長へとつながる(人事)評価」「魅力ある勤務環境」「長時間労働の是正」といった働き手にとって「良い話」はたくさん出てくるが、「リストラ」や「構造改革」「業務削減」といった言葉はまったく出てこず、働き手にとって「厳しい話」は封印されている。人事院の所管からはみ出す公務員制度全体の話はできないということなのかもしれないが、「公務」がどこまでを担うのか、という前提を整理せずに、人事評価制度や働き方改革をいくら言っても根本的な問題解決にはならない。

かねて指摘されてきた「降格」の議論も避けている。提言では、「能力・実績に基づく人事管理の原則を徹底させることが不可欠である」としているが、公務員の報酬は「俸給表」に従って給与が上がっていく仕組みで、等級が一度上がれば、それが下げられることはまずない。入省年次に従って、揃って昇進・昇給していくわけで、民間企業では当たり前の、人事異動で給与が下がる、という仕組みがないのだ。

5つ並んだ人形の上にチェックボックスがあり、一番高い評価の人形の上にチェックが入っている
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「降格などありえない」霞が関の現状

提言には「登用された者がそのポストで能力を発揮できなかったような場合に、元の役職段階へと戻すことができる柔軟な運用をしていくことも必要である」という一文がある。「現行制度でも、原則として昇任後の6か月間は条件付きでの昇任期間となり、その後の人事評価結果により正式な昇任の可否が判断されるが、その際に昇任不可となるのは極めて稀である」と、現状を吐露している。