「生きやすさ」のヒントがある
一方で、アフリカの社会には、こうした「凸凹」がそのまま受け入れられるような柔軟さがあると感じる。
例えば、ウガンダの市場でのやり取りや、時間に縛られない人々の生活態度には、一律に整えることよりも、それぞれの状況や個性を尊重する文化が根付いているように思う。
この「揺らぎ」や「幅」のある社会では、多様な人々がそれぞれの形で存在できる余地がある。それが結果として、生きやすさや人間らしさを支える要因になっているのではないだろうか。
私は、こうした「凸凹」を大切にするアフリカの社会のあり方に、多くのヒントが隠されていると感じている。それは、あらゆる物事を標準化しようとする現代社会に欠けている豊かさであり、私たちが忘れかけている人間本来の生き方ではないだろうか。
「すべてが外からの力で決まっている」
ウガンダの友人が来日した際、日本の生活で驚いたことを話してくれた。
「エスカレーターに乗れば自分が動かなくても上がっていく。トイレに行けば便座が自動で開く。タクシーに乗れば『シートベルトをお締めください』と機械が指示してくる」
彼女は半分笑いながらこれらを語ったが、最後に真剣な表情でこう付け加えた。
「すべてが外からの力で決められていて、自分の考えや行動が制約されているようだ」
日本では、日常生活の多くがシステムに組み込まれ、人々の行動が外部の仕組みによって管理されている。
例えば、交通システムに従うことで安全に移動できるが、自分で考えて行動する機会は減りがちだ。信号が青に変われば、何も考えずに道路を渡ればいい。
一方、ウガンダでは信号機がない場所も多く、道路を渡る際には車やバイクの動きを観察し、自分の判断で足を踏み出す必要がある。