先祖が眠る墓を処分しようとする人が増えている。福厳寺住職の大愚元勝さんは「お墓とは、先祖が遺族を守っている場所であり、先祖とつながる場所だ。『墓をどうするか』と悩む前に、考えるべきことがある」という――。
日本の墓
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「墓じまいしたい人」が7割もいる

2024年6月、株式会社AlbaLinkは、20代以上の男女500人を対象に「墓じまいに関する意識調査」を実施し、そのデータをランキングにした。

その調査結果によれば、「墓じまいをしたいと思っているか」という問いに対して「とても思う」「やや思う」と答えた人の合計は70.8%で、大多数が墓じまい賛成派だった。

では、墓じまい賛成派の理由は何だろうか。

1位は、「維持管理・墓参りが大変」
2位は、「後継者がいない」
3位は、「子どもに負担をかけたくない」

その他は、「維持費がかかる」や「実家や親族と関わりたくない」など、故人との関係が良好でなかった場合や、法要に際して親族や地域、お寺と関わることに、面倒や嫌悪を感じている人の声もあったという。

石原慎太郎氏も望んだ「散骨」が人気

一方「墓じまいをしたくない」と回答した人もいた。

1位は、「しばらくは維持管理できる」
2位は、「先祖代々の墓だから」
3位は、「心の拠り所として残したい」

その他は、「墓じまいが大変そう」「家族・先祖の気持ちを大切にしたい」が多かった。

「亡くなった祖父母・親に思いをはせたり、自分のルーツについて考えたりする機会になる」といった意見もあった。故人への思い入れが強いほど、お墓のもつ意味は大きくなるのだろう。

さらにこの調査では、自分が死んだときに希望する葬送の方法を聞いている。

結果の1位は、「散骨」
2位は、「先祖代々・家族の墓に入る」
3位は、「樹木葬」

1位の「散骨」は、石原慎太郎さんをはじめとする有名人の影響からか、このところ山海への散骨希望者が急増、その他、「納骨堂」や「遺族に任せる」といった意見もあったという。