沖縄のお墓は驚くほど大きい
話は変わるが、私は毎月のように研修や講演のために各地を訪れる。このところ沖縄方面からお呼びがかかることが多く、2024年末から今年の2月までに、沖縄本島と石垣島に3度訪れた。
沖縄といえば、温暖な気候、美しい海やグルメが魅力だ。しかし、それ以上に私が沖縄で楽しみにしていることが2つある。
それは、「のんびり」「温厚」な沖縄の人々と会えること、そして沖縄の「お墓」を訪れることだ。
昨今のコンパクトでオシャレな内地(本州)のお墓と比べると、沖縄のお墓は驚くほど大きい。
数千人が眠る「古墳」のようなお墓も
沖縄のお墓が大きい理由が3つある。
1つは「風葬」。昔の沖縄では、遺体の周りを石で囲って風化させ、遺体が骨化したら、遺骨を洗浄して骨壷に入れて石室に納骨するのが慣わしだった。だからそれだけの広さが必要だったのだ。
2つ目の理由は、門中墓が作られていたこと。沖縄の言葉で「ムンチュー」と呼ばれる「父系の直系血族」が承継してゆく墓で、小さな家ぐらいの規模は当たり前。中には数千人が眠る墓古墳のように大きい墓まであるのが沖縄の門中墓だ。
3つ目の理由は、雨季や台風に備えるため。台風というと、大変なイメージがあるが、実は沖縄の美しい海や豊かな大地にとって、激しい雨風は欠かせない。台風がちゃんと上陸しないと海水の温度が上がり、サンゴが死滅してしまうのだ。
そう、沖縄の人々にとって台風は当たり前のことであり、必要なことであり、それゆえにお墓も、激しい雨風で倒れたり、傷んだりしないように、広く大きな屋根を備えた、頑丈なお墓が建てられたのだった。
そして何より沖縄のお墓で特徴的なのが、お墓参りだ。毎年4月になると、沖縄の人々はお墓の前に親族が集まって、パーティーを開く。シーミー祭(清明祭)と呼ばれるこの風習は、親族が祖先のお墓参りに行き、食事をしながら親睦を深める沖縄の伝統行事だ。