春休みや夏休みになると、多くの塾で短期集中講座が開かれる。受講すべきなのか。医学部予備校エースアカデミー代表の高梨裕介さんは「短期集中講座の受講は、実はまったくおすすめできない。成績を伸ばす唯一の方法は、基礎の習得と暗記だ」という――。

※本稿は、高梨裕介『合格したいなら「中学受験の常識」を捨てよ』(日本能率協会マネジメントセンター)の一部を再編集したものです。

教室で勉強しているアジアの小学生の女の子
写真=iStock.com/koumaru
※写真はイメージです

春休みや夏休みの短期集中講座のデメリット

×短期集中講座を受ければ成績が上がる

○短期集中講座は塾都合の営利目的講座

春休みや夏休みになると、多くの塾で短期集中講座が実施されます。

しかし、短期集中講座の受講は、実はまったくおすすめできません。

これらの集中講座のデメリットは二つあります。

一つ目は、長時間拘束されて暗記や復習の時間がまったくなくなり、成績がさらに下がってしまうことです。夏季講習などの短期講習では、たくさんの講座が用意され、塾の先生からあれもこれも受講するように推奨されると思います。そして、みっちりとしたスケジュールで講習を受けた結果、休み明けに成績がむしろ下がってしまうケースが見られます。

成績が下がってしまう理由は単純で、「授業を聞くこと」に時間を取られてしまい、基礎の暗記や復習に手が回らなくなってしまうからです。

基礎の習得が疎かになった結果、どんどん基礎が抜けてしまい、成績がさらに下がってしまうのです。

大切なのは基礎の徹底に集中すること

もう一つのデメリットは、勉強のリズムを崩しやすい点です。

短期集中講座は、その名の通り、短い期間にたくさんのことを詰め込みます。冷静に考えると、そんな短期間にたくさんのことを習得できるわけがありません。

また、多くの宿題が出されてしまい、夜更かしをしてなんとか宿題を終わらせようとした結果、生活リズムが乱れて体調を崩す恐れもあります。

お子さんの成績が思うように伸びないとき、焦る気持ちはよく分かります。しかし、特効薬を求めて短期講習をたくさん受けさせるのは、絶対にやめておくべきです。

繰り返しますが、成績を伸ばす唯一の方法は、基礎の習得と暗記です。短期間で成績が伸びる魔法のような講座なんてありません。塾の宣伝文句に流されず、基礎の徹底に集中することが大切です。