09年3月期から12年3月期までの3年間で増収増益を達成した企業は、全上場企業のうち約900社。そうした企業は、意外にどんな業種にも存在する。卸・小売りといった見向きもされないような業種の中にも、危機から立ち直って新たな成長ステージに入った企業が生まれているのだ。
たとえば、眼鏡チェーンを展開するジェイアイエヌ。リーマンショック後に赤字転落し株価は1時39円まで落ち込んだが、高品質で超低価格の眼鏡を開発、注文から30分で受け取れるサービスを導入するなどで業績は飛躍的に回復。株価は現在、5000円に達している。
もっとも、最近の株価上昇場面でおもに買われていたのは、こうした企業より電力、金融、海運といったお馴染みの主力株だ。これらの銘柄も、今ならまだ投資する価値はある。日本株市場に連動するインデックスファンドへの投資もまだ有効だ。だが、それも日経平均が1万2000~1万3000円といった水準までで、そこから先は個別銘柄の選別が重要になる。業績の復活度のほか、PBR(株価純資産倍率)0.8倍以下といった視点で、割安な有望株を選びたい。投資信託なら指数を上回るパフォーマンスを目指すアクティブファンドの出番だ。
個別銘柄としてもう1つ注目したいのはIPO(新規株式公開)銘柄だ。最近になってIPO市場は活気を取り戻している。たとえばミドリムシ製品を開発するユーグレナは12年12月に上場、株価は公開価格1700円に対しすでに5000円を超えている。IPO市場の活況は起業を目指す人が夢を持てるという意味でも望ましいことだろう。
古い体質の企業、経営者はもう退場する時期がきている。「株価が戻ってよかったね」と言っているようでは先がない。投資家としても、イノベーションに邁進する気概ある企業を応援したい。