専業主婦よりも大きなリスクになる

このようなペアローンが絡んだ離婚案件は年々増えてきています。女性の社会進出に伴い、女性の収入が増えてきたことによって、ペアローンを組む夫婦が増えているのでしょう。

ただ、弁護士の立場から見ていると、ペアローンを組む夫婦は、そもそも家計が危ういことが多いです。

「高額な物件を買える」という目先のことしか考えず、夫婦双方で数十年のローンを抱えるリスクを重視しない人が多いのだと思います。

ペアローンを組んでいる場合、夫婦仲が悪化して離婚したいとなると、離婚することが非常に難しくなります。A子さんの場合は離婚するまで実家に帰ることができましたが、夫婦がひどい不仲なのに、ペアローンがあるからお互いに家を出ることすらできないという人もいました。

妻が専業主婦である場合も、経済面で家を出るのが難しいというハードルがありますが、仕事を再開するなどして別居に踏み切ることはできます。

ペアローンの場合は、自分が債務を負っているという点で、専業主婦よりも大きなリスクを抱えていると言えるでしょう。

「まさかこんなことになるとは……」

さらに、離婚をしない場合であっても、ペアローンにはリスクが伴います。ペアローンは、夫婦の両方が長年働き続けるというライフスタイルを前提にした買い方だからです。

結婚生活を始めてみれば、妻が出産することもあります。子どもを持たなくても、夫婦のどちらかが病気やけがをすることもあります。その時に、夫婦両方に大きなリスクが降りかかることになるのです。

単独ローンの場合、債務者が亡くなると団信で残債を返済することができますが、ペアローンの場合、片方が亡くなっても、もう片方の債務は残ります。その点でも、長年継続的に返済を続けるのは非常に難しいといえるでしょう。

こういった案件で離婚に悩んでいる人は、皆さん口をそろえて、「まさかペアローンでこんなに困ることになるとは思わなかった」とおっしゃいます。

高級物件への憧れ、パワーカップルという存在への憧れなどからペアローンを組むことで、将来大きなリスクを背負うことになる可能性があります。

ペアローンを組む場合には、年収や借入可能額だけでなく、将来数十年にわたったライフスタイルを見越して、慎重に判断しましょう。

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