住まいやお金など家族を守るための完璧な防御法はあるか。仕事や職場の揉め事に遭遇したときの対処法とは。よもやのトラブルから身を守るために法律の知恵を味方につけよう。
家族の人物と裁判所のハンマー
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「托卵たくらん」という言葉をご存じでしょうか。托卵とは鳥が他種の鳥の巣に産卵し、自分の子の世話をさせることで、それが転じて妻が夫以外の男性との間にできた子どもを「夫の子ども」と偽って出産し、夫に育てさせることを指す言葉としても用いられています。

托卵は身近なケースではないように思われるかもしれませんが、一説には2〜4%は該当するとも言われています。

実際、私のところへ相談に見える方もおり、夫婦仲が険悪になり相手に対してさまざまな疑念を抱く中で、夫が「本当に自分の子なのか」と思い立って調べようとされることが多いです。妻と別居後、家に残されていた子どもの髪の毛でDNA鑑定をしたという人もいました。

夫婦円満のときは1ミリも疑うことがなかったのに、関係が悪化して初めて顕在化するトラブルの一つのように思います。

問題は、DNA鑑定をして、子どもに夫と血のつながりがないと判明しても、婚姻期間中に生まれた子は「法律上は夫の子であるとみなされる」こと。

不貞行為をしているのは妻なので、離婚請求できるのは夫ですし、慰謝料を支払う義務が発生するのも妻側ですが、養育費については別。離婚後、場合によっては夫が養育費の支払い義務を負わされることもあります。

親子の関係を切るためには、「嫡出否認」という裁判制度を使う必要があります。具体的には裁判所に「嫡出否認調停」を申し立てることになりますが、子どもの出生を知ってから3年以内という条件がありますのでご注意ください。

また、子どもが成長して社会との関係が密接になり、親子関係を断ち切ることが子どもや周囲に甚大な影響を及ぼすと判断された場合、「法的安定性を欠く」とされ、親子関係の否定が認められないこともあります。

逆にいえば、夫の子ではなかったとしても法的には夫の子ですので、夫側に「離婚してもこれまで通り、自分の子どもとして育てたい」という希望があれば、妻と離婚したうえで親権を請求することもできます。