「出産費用の健保適用」も官僚のためのお手盛り政策
2023年4月から、出産育児一時金の給付額が42万円から50万円に引き上げられた。さらに異次元の少子化対策の一環として、2026年度を目途に、出産費用に健康保険を適用することが検討されている。
これまで、出産育児一時金の額を超える出産費用は自己負担だったが、保険適用になると高額の出産費用がかかった場合の自己負担が小さくなることが見込まれている。
国民健康保険中央会の「2016年度出産費用の統計情報」によると、出産費用が一番低い鳥取県は39万6331円であるのに対し、一番高い東京都は62万1814円と、費用の格差は22万円にも及んでいる。
出産一時金は全国一律の50万円だから、言い方は悪いが、鳥取県では出産費用だけの損益を考えたら、出産で「儲かって」いた。
一方、東京都で出産すると12万円以上の持ち出しとなっていた。
出産費用に健康保険を適用するということは、地方で出産することのメリットを奪い、大都市での出産を支援するという意味を持つ。
パワーカップルに恵の雨
なぜ、そんな政策を官僚が打ち出しているのか、説明するまでもないだろう。
異次元の少子化対策における官僚のお手盛りは枚挙に暇がない。
たとえば、こども家庭庁は、2025年度にも夏休みの時期などに短期間だけ開く放課後児童クラブ(学童保育)への補助金制度の創設を調整する方針だ。
共働き世帯の増加を踏まえ、ニーズが多い夏休みの受け皿増加につなげるものという建て前になっている。
政府はすでに、ベビーシッターを雇うときにまで補助金を出している。
国のベビーシッター補助事業では、承認を受けた事業所の従業員がベビーシッターを利用した場合に、最大月額5万2800円の補助がすでに出されている。もちろん国家公務員も適用対象に含まれている。
こうしたサービスの拡充は、パワーカップルにとって、まさに恵みの雨となるのだ。