存在の醜さにつながる物語の展開
このように様々な問題があることを意識しつつも、この短編で扱われている美醜、特に醜さのテーマを検討したい。差別的であるからと醜いという言葉を隠蔽するだけでは、実は醜いとこころのなかで思っていても言わないだけのことであって、本質的な解決にはならない。それと向かい合っていく必要があろう。
この短編で醜さがクローズアップされるのは、ここでのテーマが否定的なものであるのに関係している。実際のところ、そのF*という女性に関連して、詐欺や犯罪という見かけだけでない醜さに物語は展開していく。見かけの醜さは表面的なものに終わらず、こころと存在の醜さにつながっていくのである。
しかし美醜というのは、非常に相対的で主観的なものである。ある時代や文化において美しいとされるものが、必ずしも別の文化では美しいものではない。それどころか、語り手は美しさについて、次のように述べている。
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