『大奥』チームが挑んだ、幕府公認の色里「吉原」の物語
――「べらぼう」は吉原が舞台ということもあり、大河ドラマとして初めてインティマシー・コーディネーター(ヌードや性的な描写があるとき、俳優が精神的にも身体的にも安心安全に演じることができ、かつ演出家のビジョンを最大限に実現するためのスタッフ)が入ったそうですね。
【藤並英樹制作統括(以下 藤並)】インティマシー・コーディネーターの浅田智穂さんには、よしながふみさん原作、森下佳子さん脚本のドラマ10『大奥』シリーズから入っていただいています。これまでも肌の露出や、キスも含めた性描写に関しては、出演者と所属事務所とコミュニケーションを取りながら進めてきましたが、『大奥』で専門的な教育を受けた方に入っていただこうということになったんですね。その際、仲里依紗さん、高嶋政伸さんなど、出演者の方々には「(インティマシー・コーディネーターに)入っていただいてすごくよかった」とおっしゃっていただきました。
――そうした配慮がなされている中、第1回では女性の裸の遺体が映し出されたシーンが話題になりました。臀部を隠された俳優さんとそうでない俳優さんがいたこと、AVに出演する俳優が遺体役でヒップをさらし、7時間寝転がっていたことをインスタライブで話したことなどから、女性性の搾取や格差社会を描く作品なのに、現場に格差があったのではないかという指摘もあります。
【藤並】たしかに撮影自体はトータルで7時間ぐらいかかっているんですよね。毎回カットがかかるごとに1回体勢を解いて服を着てもらったり、休憩してもらったりしながら撮影を進めていく中で、その都度囲いをしたり、スタッフが捌けたりしましたので、想定以上に時間がかかったためです。
ただ、もちろん7時間ずっと地面にうつ伏せだったわけではありません。また、浅田さんとわれわれ制作側のスタッフとが事前に話し合って準備や段取り、手順を決めていきました。