営業からマーケティング職など職種転換する人が多い中で、「現場感が好き」と入社以来一貫して営業職にある白石葉子さん(43)。富士ゼロックスといえばコピー機やそれに付随するOA機器が主力商品だが、白石さんによれば、最近は機械そのものに加え、周辺のサービスにも力を入れているという。
「私どものビジネスは転換点にきています。これからは機器だけでなく、その周辺のシステムやサービスなど、付加価値をつけて売っていかないと」
白石さんの所属する流通・サービス営業事業部では、法人相手にシステムやサービスを含めた提案をしている。大手百貨店等を担当する白石さんの場合、百貨店が会員へ送付する販促品の作成やDMを印刷するシステムなどのサービスも扱う。まずは顧客のふところに入るための白石さんの努力の一つが「百貨店業界独特の用語を覚えて使う」。
「たとえばある百貨店さんでは食事に行くことを『アリキュウ』と言うんですね。だから『ああ、○○さん、いまアリキュウですか』というようにこちらもお客様と同じ言葉を使います」
また先方がインターネットで公開している情報や、業界専門誌には必ず目を通す。それでも「なんとなくお客様の組織や仕事の流れがわかってきたかな」と思えるまでに3年はかかる。
「優秀な営業の方なら一瞬で心をつかむこともあると思う。でも私はすぐ仲良くなれるタイプではないので、小さな相談事をたくさん受けて信頼を積み重ねるしかない」と白石さんは言う。
時にはまったく畑違いの相談もある。でも白石さんは絶対に「それは私の仕事ではありません」とは言わない。
「まずはどんなこともいったん受ける。そのあとで、『その件なら御社の○○部の誰々さんが詳しいですよ』などとお伝えするようにしています」