夜行列車に乗って上京

阿部さんは、1944年に新潟県で3人兄弟の末っ子として生まれた。父親は小学校の校長先生をしており、母親は自宅の2階で洋裁や和裁を教えていたそうだ。

阿部さんは子どもの頃「家で勉強をした記憶がまったくない」という。学校から帰ると原っぱに走り、暗くなるまで遊んでいた。学校の成績はいつもビリから2番目。しかし教育者だった父親は決して勉強しろとは言わず、自然のなかで好奇心を持ち、工夫しながら遊ぶ息子の姿を静かに見守っていた。