「リフォームすれば売れる」の落とし穴

3.築年数など

マンションでも戸建てでも建物は経年劣化する。マンションはしっかりした管理組合であれば、長期修繕計画で必要な修繕は施されているはずだが、戸建て住宅になると、親が十分手入れをしているかによって、保存状態がかなり異なる。

相続後に家をきれいにリフォームすれば、貸しやすくなるあるいは売りやすくなると考えがちだが、落とし穴もある。そもそも賃貸需要も売買需要もない家をいくらリフォームしたところで、お金の無駄使いになるリスクがあるからだ。

地方の戸建て住宅でリフォームして売り出した知人がいたが、土地代が安い地方では、リフォーム済みの中古住宅を買うくらいなら、土地を買って自分の好みの新築住宅を建てる人が多く、全く無駄な投資になってしまったと聞く。

都心マンションは商品価値が長続きする

一方で、都心部にあるマンションならば築年数が50年近くの物件でも、都心居住のニーズは分厚いので、賃貸、売却ともいろいろな選択肢に恵まれている。ということは区分所有者で経済的に困窮している人も少なく、十分に建物管理、維持が施されているケースが多くなる。そうした物件はあえて手を入れなくとも、必要最小限のメンテナンス程度で十分商品価値を発揮できる。

今年は帰省した際に、ちょっと実家の様子を探ってみてはどうだろうか。今は親が元気であっても、相続は誰しもが通る道。早め早めの対応策がいざという時の備えになる。兄弟間でも事前打ち合わせが行える機会はそうそうない。互いの希望を知ることもできる。できれば親を含めての家族会議はいかがだろうか。

家を囲んで計算などをする人々
写真=iStock.com/bee32
※写真はイメージです

正月のようなハレの機会にこそ、将来の話をしてみることをおすすめする。

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