郊外マンションは“負動産”になりやすい

2.戸建て、マンション

相続対象の実家が戸建てかマンションかでも判断は異なる。一般的にはマンションは相続しても比較的使い勝手がよい。特に都心部のマンションであれば、賃貸するにも個人だけでなく小規模法人などの賃借ニーズがある。賃料が確保できれば、将来的に年金の足しにもなる。

夕暮れ時、日本の東京の街並
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ただ、大都市圏でも郊外マンションは気を付けたほうがよい。駅至近(5分以内)くらいであればまだしも、築年が古く、特に鉄道ターミナル駅から支線になるようなラインの駅にしかアクセスできないようなマンションになると、流動性がなくなり、ましてや賃貸需要も見込めないものが多いからだ。自分が住まずに放置していると毎月管理費、修繕積立金を徴収されるので、まさに“負動産”をつかむことになる。

マンション内の住民の年齢構成や修繕具合などもチェックし、仲介サイトなどで相場価格を掴んでおくとよいだろう。親が買った時の値段はほぼアテにならない。郊外マンションで築40年くらいの物件になると首都圏であっても車一台分くらいの値段にしかならない、あるいは全く買い手がつかない物件も結構ある。

また住民が高齢者ばかりだと、大規模修繕が滞っているマンションも多い。修繕が施されていない物件は将来スラム化するリスクもある。車一台分の価格であっても、売れるのであれば、欲張らずに早期に処分できればそのほうがよい。

古い戸建てを即解体、に潜む税金リスク

戸建て住宅はマンションよりも取り扱いが難しくなる。木造であれば、築30年もたてば、中古市場での価値はほぼゼロである。つまり価値として評価されるのは土地だけとなる。

立地はもちろん、地形が整形であるか、道路にどの程度接道しているか、などを含めてよく把握しておくことだ。土地の形状は、売却する際の重要なポイントとなるからだ。土地情報はなかなかネットではつかみにくいが、地場の不動産屋を訪れてヒアリングすると、丁寧に教えてくれることも多い。

なお、建物に価値がないからと言っていきなり解体、撤去して更地にしてしまうことはおすすめしない。固定資産税、都市計画税が住宅用の減免を受けているからだ。更地にしていざ売りに出しても売れなければ、翌年以降は税金が大幅に上がってしまうことになる。