立地自治体のポイントは「人口40万人以上」
1.地方の実家、都市部の実家
地方と言っても、地方都市、地方の郊外などいろいろだ。基本的には地方四市と言われる札幌、仙台、広島、福岡といったその地方を代表する都市にある実家は、東京や名古屋、大阪といった大都市圏にある家とほぼ同じレベルで考えてよい。
つまり、各都市の都心部にあるような実家であれば、相続したとしてもそれほど苦労がない。現代はコンパクト化現象といって、地方の中でも中心都市に人が集まる傾向がある。自身に実家を利用するあてがなくても、賃貸する、あるいは売却するといった選択肢が残るので安心だ。鉄道や主要幹線道路のアクセスが良いところならば相続して困ることは少ないはずだ。
主要都市といっても、県庁所在地のすべてが大丈夫なわけではない。人口減少、高齢化が激しい都市では、相続した実家をいざという時に売却できないリスクを負う。おおむねの目安としては人口が40万人以上の都市で、家が中心市街地に存在するところであればある程度の流動性も確保できる。例でいえば富山市や大分市あたりが限界だろう。
最近は観光ブームであることから民泊などに転用が可能なエリアであれば、有効活用が可能なこともある。また大企業の工場などが立地するエリアであれば、賃貸住宅、アパートに転用することもできるので相続して活用する方法がありそうだ。
「本当の田舎」なら相続は避けたほうがいい
いっぽう、これらに該当しないエリアにある実家は自分が使う予定のある場合を除いては、相続することは避けたほうがよい。
親がおひとりさまになる、あるいは病院や老健施設に入所するなどのタイミングでできれば早めに処分しないと、時間の経過はますます手放す可能性を狭めてしまうことになる。よくある話であるが、「ダメ元」でお隣さんに声掛けすることは、意外と成功するケースが多いので覚えておくとよいだろう。
実家が農業などを生業にしている場合には田畑や山林などが相続対象になる。農業を継ぐのなら別だが、長く都会暮らしをしてきた相続人には農作業は辛い。農業を承継してくれる人を早めに見つけて実家ごと売却したい。
ただし売却に当たっては地元の農業委員会での認可手続きなどがある。事前によく勉強しておくことだ。山林になると相続が繰り返されて共有者が多く、場所すらわからないケースがある。少なくとも共有者が誰であるかは確認しておきたい。
実家への思い入れは別として、実家に流動性(売却可能性)や賃貸可能性があるかどうかは親が生きているうちに目星をつけておく必要がある。現代はネットで不動産情報はかなり正確に入手できるので、少なくとも親の家が売却、賃貸の可能性があるかどうかは頭に入れておきたい。