「ちょっとくらい我慢してよ」と言う夫たち
確かに、ネットやSNSでは「帰省ブルー」に悩む妻たちの声が多く寄せられており、それによれば自分の気持ちをいくら伝えても夫は「ちょっとくらい我慢してよ」「結婚したんだからうちの家族とも仲良くやるのは当然だろ」とまったく取り合ってくれないという。
ただ、実はこの問題は帰省や義家族がどうこうという話ではなく、ごくシンプルに「妻に依存しすぎる夫」が諸悪の根源である。
日本の夫は諸外国の夫に比べて、家事や育児をしない。男女共同参画白書の「男女別に見た生活時間 (週全体平均)(1日当たり、国際比較)」を見ると、家事や育児という「無償労働時間」の男女比が欧米では概ね1.3〜1.8のところ、日本は5.5と異常に大きくなっている。よく一部の日本人が「あそこの国はものすごい男尊女卑社会だから」なんて下に見ることの多い韓国ですら4.4である。
つまり、日本の夫というのは、口では「うちは共働きなので家事や育児を妻と分担しています」とイクメンぶる人も増えてきたが、それはたまにオムツを変えるとか、買い物に付き合うとかいう程度で、実際のところはほとんど妻におんぶに抱っこなのだ。
本質的には「妻依存の強い夫ブルー」
このように世界的にも珍しいほどの「妻依存の強い夫」が正月やお盆に帰省をするのだから、「絶対に妻を同伴する」となるのは当然ではないか。
一人で実家に帰省をすれば、さすがにただコタツで寝てるわけにもいかない。正月のおせち料理づくりや老いた両親のサポートもしなくてはいけない。しかし、そもそも自分では家事などやらないし、やりたくない。
子どもたちを連れて行ったら、あれやこれと面倒を見なくてはいけない。幼い子どもの場合はなにかと手もかかるが、こちらも育児をサボってきたので、一人では自信がない。
つまり、「帰省ブルー」を訴える妻の願いを無視して「うちの家族とも仲良くしてくれよ」と強引に帰省に同伴させる夫の本音は「オレの代わりに面倒なことやってくれよ」という場合も多い。
こういう日本の夫婦関係のシビアな現実に照らし合わせると、実は「帰省ブルー」と呼ばれている悩みの多くは、一人では何もできない夫側の都合に妻が振り回されて疲弊している、という「妻依存の強い夫ブルー」ともいうべき問題なのだ。