「とんでもない豪邸」には住まない

清掃芸人として知られる滝沢秀一さんのインタビュー記事で、印象的なエピソードがありました。それは、「お金持ちの家ほどゴミが少ない」というもの。高級住宅地ほどゴミが少なく、普通の住宅街の方が、100均のアイテムやファストファッションブランドの洋服なんかがわんさか捨てられているというのです。これ私、非常に頷きました。

というのも以前、老舗旅館を経営する資産家一家のお家に遊びに行った際、壊れかけのスツールを麻紐で縛って直しながら使っていたのを見たことがあったのです。ご家族は、「すごく気に入っているから、ずっと直して使ってるの」とおっしゃっていました。

お金持ちというと、とんでもない豪邸をイメージされるかもしれませんが、今例に出した皆さんは全員、中古マンションや一般的な一軒家住まいです。23区内の駅近物件のため資産価値は高いですが、決してお城のような家でもなく、内装もごくごくシンプルで上品。つまり、リセールバリューを考えた住まい方をされているのです。

お金を使うのは「健康」「教育」「体験」

ゴミの話や老舗旅館の方、また彦田さんやスティーブ・ジョブズにもつながると思うのですが、彼らは「消費」に対しても高い意識を持っているのだと思います。ゆえに、100均で衝動買いもしないし、安くなっているという理由で、ものを買わない。そして、流行も追わない。

お金持ちの方は、自分が気持ちよく使えて長持ちするものを見極め、それらが足りないと思ったタイミングにだけ買い足す。だから、結果的にゴミも少ないのではないかと思いました。

それこそ、年末年始は「ブラックフライデー」や新春初売り、福袋の季節ですが、お金持ちの方からセールの話をほとんど聞いたことがありません。また、宝くじやギャンブルをやらない方が多いことも鑑みると、富裕層には、時間的なコスト面と、消費への一貫した指針・哲学のようなものを持っている方が多いのではないでしょうか。

日本の福袋のイメージ
写真=iStock.com/shironagasukujira
※写真はイメージです

では逆に、富裕層は何にお金を使っているのでしょうか? それはズバリ、「健康」「教育」「体験」だと思っています。

まず、健康。私のお客さまの中で資産をお持ちの方はほぼ皆さんスポーツをされていて、太っている方が驚くほど少ない。ジムやフィットネス、ヨガや山登り、サーフィンなどなど、趣味も兼ねたアクティビティを日常生活に取り入れていて、健康への気遣いが見て取れます(そして、喫煙者も少ない)。