ビットコインの活用を呼び掛けるロシアのプーチン大統領

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が代表的な暗号資産であるビットコインに活路を見出そうとしている。プーチン大統領は12月4日、モスクワで開催された国際投資会議の場で、外貨準備を米ドルやユーロといった国際通貨(ハードカレンシー)で保有することへの疑問を投げかけ、代わりにビットコインの活用を内外に呼びかけた。

2024年12月14日、ロシア・モスクワのロシア・ナショナルセンターで開催された、与党「統一ロシア党」の第22回本会議で演説するプーチン大統領。
写真=Sergey Bobylev/Sputnik/時事通信フォト
2024年12月14日、ロシア・モスクワのロシア・ナショナルセンターで開催された、与党「統一ロシア党」の第22回本会議で演説するプーチン大統領。

ロシアは2022年2月にウクライナに侵攻したことで、米欧日から厳しい経済・金融制裁を科された。その際、ロシアが米欧日の中銀に開設していた口座が凍結され、預託していた外貨資産へのアクセスを失った。そのためロシアは、それまで積み上げて来た外貨準備資産の6割近くを、事実上、失うことになったという経緯がある(図表1)。

【図表】ロシアの外貨準備構成(2021年6月時点)
(注)その他には日本円などのハードカレンシーが含まれる。 (出所)ロシア中銀

そもそも、外貨準備とは何か。外貨準備とは、各国政府が保有する外貨建て金融資産を意味する。そのうち、いわゆる為替介入に用いることが出来る満期の短い金融資金は、全体の2割程度ではないか。残りの多くは、年限の長い長期の外貨建て金融資産となる。新興国ほど外貨準備は、政府系ファンド(SWF)としての意味合いを強く有している。

2014年のクリミア侵攻で米欧との関係が悪化して以来、ロシアは外貨準備の多様化を進めてきたが、米ドル建て資産をユーロやポンドといった他のハードカレンシーに振り替えたに過ぎなかった。しかし米欧が協力してロシアの外貨準備へのアクセスを遮断したため、外貨準備を多様化した甲斐もなく、国富を実質的に没収されたわけだ。