過去には盧武鉉氏、朴槿恵氏も…
韓国の大統領あるいはその親族が関与した、スキャンダル事例は以前から見られた。最近のケースだと、朴槿恵(パク・クネ)元大統領は崔順実(チェ・スンシル)という知人女性を国政に関与させた。財閥系大手企業の創業家一族は、政権に近づこうとして崔順実氏の娘に経済的な便宜を図った。
崔順実氏は祈祷師の娘であり、政治、経済などの専門家ではなかった。大統領が一市民を優遇していたことに世論は怒り、大規模な“ろうそくデモ”が起きた。2016年、朴大統領(当時)は弾劾訴追された。崔順実氏は懲役18年が確定した。
革新派の大統領だった、故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏もスキャンダルにまみれたといわれている。盧氏とその側近の政治資金の隠蔽などが問題視された。2004年3月、盧氏は弾劾訴追を決議されたが、最終的には弾劾には該当せずとの裁定が下り大統領職に復帰した。
韓国には「縁故資本主義」が根付いている?
他の歴代政権でも、企業との癒着、政治ブローカーと呼ばれる有力な仲介者の存在などが明らかになった。韓国では政権が変わると、過去の違法な金銭授受などが発覚し、大統領経験者やその親族、財閥企業の創業家出身者などが有罪判決を受けた。
韓国では、新興国や途上国でよくみられる“縁故資本主義(クローニー・キャピタリズム)”が常態化していたのかもしれない。縁故資本主義では、市場原理ではなく、血縁や個人的つながりに基づいて便宜を図り、特定の企業や個人に富や権力が偏在する傾向にある。その状況が続くと、国民の間で不公平が発生し経済格差は拡大する。
また、最近の韓国経済が低迷気味であることもマイナス要因だろう。若年層の失業質は高い。少子高齢化も加速度的に進んでいる。中国経済の減速によって輸出の回復も緩慢だ。それらも、尹政権に対する批判・不満の増大要因となった。