「男系vs女系」だけでは解決しない
悠仁さまに男子がいなかった場合、男系継承を貫徹して旧宮家に期待するか、女系継承を考えるかを現時点で集約するのは難しいから、両方の対応が可能なようにすればよいと有識者会議は考えたのであって、穏当な考えだ。
有識者会議が提案する女性皇族本人のみが皇族である案だと、妻は皇族、夫は一般人と家族内で身分が違うことになり困るという意見があるが、愛子さまや佳子さまと結婚したら自分も皇族にならねばならない状況と比べたら、一般人のままでいられるほうが希望者が多いに決まっている。
またこの案が実現すれば、たとえば愛子さまには年間約3000万円の皇族費が支払われ、赤坂御用地や皇居のなかに宮邸を与えられ、ご家族と一緒に住みながら、両陛下とも濃密な交流が継続できるのである。
一方、高森氏の主張するように、皇族の養子などとしての旧宮家男子の皇族復帰が憲法違反だというなら、現皇族、具体的には悠仁さま、佳子さま、愛子さまの子孫が男系女系問わずいなくなったら、天皇制度は廃絶することを憲法は予定しているというのだろうか。近い血縁で継承候補がいなければ、遠縁から探すのが君主制度にとって鉄則であるのは古今東西を問わない。
旧宮家に希望者がいるか聞けという人もいるが、対象者は未成年の人が多く、具体的な制度設計もせずに本人の意思確認などできないものの、旧宮家の人々は頼まれれば受けるしかないという意識だという。
私は旧宮家を念頭においた男系論だけでも、女系論だけでも、皇位継承候補の安定的な確保に十分な数は難しく、両にらみであるべきという現実的な考えだし、実務に当たっている関係者はみなそれに似た気持ちだ。