予想を覆されると、人はついつい笑ってしまう
【話し手】桜の木の下でね
【聞き手】うん
【話し手】宴会している男の人たちがいたんだけど
【聞き手】うん
【話し手】まだ桜は咲いていないのにね
【聞き手】えっ! そうなの?
「まだ桜も咲いてないのに桜の木の下で宴会をしている人がいた」と、一気に言ってしまわないのがコツ。
話しはじめは一コマ一コマ、映像を部分ごとに伝える感覚で話します。
はじめに「桜の木」を聞き手に思い浮かべてもらい、次に「宴会をしている人たち」を思い浮かべてもらうのです。
こうすることで聞き手は、聞いていないことも推測して映像を思い浮かべはじめます。おそらく、桜の花がちらほら咲きはじめているような光景を思い浮かべるでしょう。
しかし、読み返してもらえばわかりますが、話し手は「桜が咲いている」とは一言もいっていません。しかし聞き手は常識としてそんな光景を思い浮かべてしまう。そこがポイントです。
あえてそのように予測させておいて、最後の一言です。
「まだ桜は咲いていないのにね」
聞き手が思い描く映像は一瞬で、「まだ開花していない桜の木の下で宴会をする男たち」に切り替わるでしょう。
「意味あるの?」という気持ちが湧き上がり、それが笑いに変わるのです。
このように、ちょっとした伝え方の妙で笑いは起こせるのです。
映像を一つずつ足していく意識で話す
もう一つ、少し長めのお話をしてみましょう。先ほどと同じように話を頭の中で映像にして、相づちを打ちながら読んでみてください。
【話し手】スーパーでね
【聞き手】うん
【話し手】母親を見かけてさ
【聞き手】へえ
【話し手】後ろから近寄って、肩を叩いたら
【聞き手】うん
【話し手】その人が振り返ったんだけど
【聞き手】うん
【話し手】知らないおじさんだったんだ
【聞き手】ええっ!
【話し手】パンチパーマの
【聞き手】おじさん⁉
【話し手】うちの母親、男みたいなんだよね
【聞き手】そうなの⁉
【話し手】口の周りにヒゲも生えているし
【聞き手】わはは
こちらも話しはじめは映像を一コマ一コマ思い浮かばせるために、「スーパーで」「母親を見かけて」「肩を叩いた」と、言葉を短く伝えています。
映像を一つずつ足していく、というふうに意識すると、どこで言葉を区切るといいかもわかってくるでしょう。