何でもない話なのになんだか楽しくなる方法

私の教室でコミュニケーションの練習をしたときのことです。

そのときの学びのテーマも「短い言葉で区切って間をとり、相手から相づちをもらいながら話すこと」。

つまりコミュニケーションブリッジの話し方でした。

【話し手】私ね
【聞き手】ええ
【話し手】ちょっとセコイところがありまして
【聞き手】へー、意外ですね
【話し手】高級なチョコをお土産なんかでもらうとね
【聞き手】はい
【話し手】それを箱から出して、別の容器に詰め替えて
【聞き手】ええ
【話し手】そして、冷蔵庫の野菜室に隠しているんです
【聞き手】また、なんで⁉
【話し手】家族に見つかったら、食べられるからですよ
【聞き手】えーっ!

言葉を区切り、間をとって相づちを待てば、自然と相手との言葉のやりとりが増える。そういう感覚を体験してもらうためで、話の内容は読んでわかるようにたわいもないものです。

すると、生徒の一人がこんな感想をよこしました。

「野口さん、相手とのやりとりが増えると、何でもない話なのに、なんだか楽しくなってきますね」

野口敏『どんな人とも楽しく会話が続く話し方のルール』(三笠書房)
野口敏『どんな人とも楽しく会話が続く話し方のルール』(三笠書房)

これは私の想像ですが、これもおそらくは互いの脳が同期していることへの、脳からのごほうびなのでしょう。

脳は他人と結びつくことを、自分が生き延びるために必要なことと考えているのではないでしょうか。だから他人とつながりを感じるとき、私たちの脳からは幸せホルモンが分泌されているのでしょう。

この課題もいつの日か、脳科学の世界がその説明をしてくれるのではないでしょうか。

とはいえ、研究発表を待つ必要はありません。あなたが実証すればいいのです。

他人とコミュニケーションをとるとき、短い言葉で区切り、間をとって相手の相づちを呼び込むように話してみればいいのです。できれば、語尾に気持ちが出るように話してみましょう。

そのとき自分がどんな気持ちになるのか。それを確かめれば、それが証明となるでしょう。

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