藤原道長とはどんな人物だったのか。歴史評論家の香原斗志さんは「平安貴族の頂点に立てたのは、妻の倫子の力が大きい。とくに彼女が持つ二つの力が、道長を大いに助けた」という――。
NHK大河で描かれるまひろと道長の関係は本当か
太皇太后彰子(見上愛)のもとを離れ、大宰府を訪れたまひろ(吉高由里子、紫式部のこと)は、20年前に父の為時(岸谷五朗)の赴任に同行して越前(福井県北東部)に下った際に出会った周明(松下洸平)と再会。「20年前の左大臣はいまの太閤か?」「おまえの思い人か?」などと問われてから、自分語りをはじめた。NHK大河ドラマ「光る君へ」の第46回「刀伊の入寇」(12月1日放送)。
「『偉くなって世を変えて!』とあの人に言ったのは私なのに、本当に偉くなってしまったの。空しくなってしまったの。そういうことを思うおのれも嫌になって都を出ようと思ったの」。周明が「それだけ慕っていたのだな」とはさむと、まひろは「でも離れたかった」。さらには、「私はもう終わってしまったの。終わってしまったのに、それが認められないの」と涙を滲ませた。
書き遺したものから察するに、斜に構えたひねくれ者だったと思しき紫式部にしては、少々青臭い自分語りにも感じられるのだが、それはともかく、「光る君へ」ではまひろが藤原道長(柄本佑)を思う気持ちは、かなり強いように描かれてきたし、ドラマが終盤に達してもそう描かれている。
道長も月を眺めながら、自分のもとを去ったまひろのことを思っていた。