賃金上昇に歯止めをかけている要因

日本の実質賃金は1996年までおおむね、原則通りに決定されていました。1956年から1996年までの間、労働生産性は年4.8%で上昇し、雇用者1人当たり実質賃金の上昇率は3.4%でした。実質賃金の労働生産性への追随率が7割となり(*3)、完全に1対1の関係にならなかったのは、政府の規制が残っており、完全競争条件が満たされていなかったからです。

ところが、図表1に見られるように1997年以降、状況が一変し、「不都合な関係」となりました。上昇率は大幅に鈍化したとはいえ、バブル崩壊後も労働生産性はプラスの伸びを維持していました。経済理論が想定する世界であれば、実質賃金も上昇していなければなりません。

四半世紀にもおよぶ実質賃金下落の大きな原因は、資本の力が圧倒的に強くなり、雇用の流動化政策が実施されて、非正規労働者が増加したことにあります。