子どもの性被害を防ぐにはどうすればいいのか。小児科医の今西洋介氏は「『うちは男の子だから大丈夫』という考え方は今すぐ捨てるべきだ。『女児よりもガードがゆるいから』と男児を狙う性加害者は存在する」という――。
※本稿は、今西洋介『小児科医「ふらいと先生」が教える みんなで守る子ども性被害』(集英社インターナショナル)の一部を再編集したものです。
※本稿には性暴力についての具体的な事例・事件や描写が含まれています。
表に出てきにくい男児の性被害
男の子の性被害は、女児のそれ以上に表に出てきにくいものです。理由のひとつに、男児は女児以上に「何をされているかわからない」ことがあります。それは、男児の小児性被害においても、加害者のほとんどが男性だからです。
警察庁生活安全局少年課による「令和2年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況について」によると、子どもに性的虐待をした加害者のうち男性が293人、女性が12人でした。被害を受けた子どもの性別はあきらかではありませんが、男児もほとんどが男性から被害を受けていると見て間違いありません。
また、やや古い研究になりますが、アメリカで1998年に発表された包括的な調査では、少年への性被害に関するさまざまな情報が提供されました。少年に性加害をするのは、「知り合いではあるが、血縁関係のない」男性である傾向が強く、多くの場合は家庭外で発生し、性交を伴い、一度では終わらず複数回に及んでいました(*1)。
*1:「Sexual Abuse of Boys Definition, Prevalence, Correlates, Sequelae, and Management」Holmes WC, et al. JAMA 1998;280(21):1855-62.