最終的には「部下を持たなくていい仕事」への異動で解決

しかし、それでもSさんとしては、今のポジションにストレスを感じていることに変わりはありません。彼の依頼もあって人事担当者に状況を伝えたところ、人事とSさんとの面談が設定されることになりました。

舟木彩乃『発達障害グレーゾーンの部下たち』(SB新書)
舟木彩乃『発達障害グレーゾーンの部下たち』(SB新書)

そして、Sさんは次の異動のタイミングで、管理職というポジションではあるものの、実質上は部下がつかない部門でデータサイエンティストとして、新しいキャリアをスタートさせることになりました。異動後は、本人もストレスフリーで働き、実績も出しているということでした。

本件は、人事が介入したこと、規模が大きい企業であったことなどが幸いして、上手くいった事例です。しかし、そのような条件を満たしていない場合であっても、人事や専門家が公平な立場で介入して、各々の事情を把握し、部下に対応法をレクチャーしたり、両者の間に社員を介入させたりするステップが重要になります。

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