考えるときは思いつきでも、あやふやでもいい

そのとき、いつまでも立ち往生していないで、別のルートに切り替えられるかどうかが重要なのです。つまり、常に一本道ではなく、「そこから逃げる」ことを意識しておく必要があるのです。

たとえば次のような感じです。

「A社で採用されなかったら、B社で働くのもアリかもしれない」
「子供がほしくて不妊治療を続けているけれど、夫婦二人ですごす人生だって楽しいかもしれない」

もちろん、第一志望の会社に受かることや、念願の子供を授かるように頑張るのが悪いと言っているわけではありません。目標や理想、信念を持って努力するのは素晴らしいことです。

でも、残念ながらどんなに頑張ってもそれがかなわない可能性はあります。

そんなときのために「別の人生もある」と別ルートを考えておくことは大切です。代替案を用意しておくということです。

人生で行き詰ったときに、別ルートや代替案という逃げ道があるかどうかで、立ち直り方やその後の生き方が大きく変わってくるのです。

和田秀樹『逃げ上手は生き方上手』(実業之日本社)
和田秀樹『逃げ上手は生き方上手』(実業之日本社)

なかには、「そんな逃げるようなことはしたくない」と思う人もいるかもしれません。

そんな方には何度でも申し上げますが、「逃げる」というのは卑怯なことでもズルいことでもなく、生きるために必要な知恵なのです。

また、生真面目な人は、別ルートや代替案を真剣に考えてしまいがちです。それだと、“本線”の結論が出ないうちに、気持ちが別ルートや代替案に流れてしまいがちです。ですから、これらのことを考えるのは思いつきでもあやふやでもいいのです。しっかり頭に入れておくというよりも、あくまでも頭の片隅に置いておく程度でかまいません。

【関連記事】
【第1回】「愛情が冷めても離婚しない」のは日本人だけ…和田秀樹「食生活、運動不足より深刻な中年の体を蝕むもの」
和田秀樹「実は一人暮らしの認知症患者ほど症状が進みにくい」…認知症の人にこれだけは絶対してはダメなこと
医師・和田秀樹が断言「ヨボヨボ脳→ハリのある脳に変える驚くほど身近な食材と栄養素」
「高齢でもヨボヨボにならない人」はよく食べている…医師が勧める「若返りホルモン」を増やす炭水化物の名前
見た目年齢の差はあっという間に開く…和田秀樹「若く見える人、老け込む人」を分ける"たった1つ"の要素