悪質なクレーマーから身を守るにはどうすればいいのか。クレーム対応研修講師の津田卓也さんは「相手が客かどうかを見分けることが大切だ。客ではない相手に笑顔で接客することも、目を見て対応することも必要ない」という――。(第1回)

※本稿は、津田卓也『カスハラ、悪意クレームなど ハードクレームから従業員・組織を守る本』(あさ出版)の一部を再編集したものです。

指を指すビジネスマンのクローズアップ
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顧客のなかには「非顧客」が隠れている

クレームの種類の見極めと同様に知っておきたいのが、顧客の見極めです。

もちろん、クレーム対応の現場は民間企業ばかりではありません。病院や介護施設などであれば“患者”、役所や図書館などの公共施設であれば“利用者”が顧客にあたる存在です。皆さんの立場によって、本稿本書の「顧客」を“患者”“利用者”などに置き換えながら、読み進めてください。

顧客とは、「その組織が求めるお客様としての、正しい行動をしてくださる方」のことです。「提供している商品やサービスを適正に利用してくれる人」と定義していいでしょう。しかし、一般に“顧客”と考えられているお客様のなかには「非顧客」が隠れています。「非顧客」とは、「提案している商品やサービスを絶対に利用してほしくない相手」です。

例えば次のようなお客様について、皆さんはどう感じますか?

・スタッフを捕まえて、業務に関係がない話を延々と聞かせる
・釣り銭を1円間違えるなどのささいなミスに対して、過度な謝罪を要求する
・スタッフにセクハラをする

このようなお客様に「またぜひ利用してほしい」と思う人はいないでしょう。そのような相手はもはや顧客ではありません。

これは、公共施設も同じです。「税金で運営しているから」「公的な機関だから」と、我慢する必要はありません。顧客は選んでいいのです。ただし、それには、お客様を定義づけする難しさも知っておかなければなりません。