政治家がこれほど潤っている国は日本だけ
この政党助成金がどの程度の規模か知っているひとは少ないだろう。実に赤ん坊も含めて全日本国民一人当たり250円を支出するかたちで、政党交付金の総額315億円(2023年3月現在)である。巨額の税金が議員数に応じて、政党に分配されている。自民党に159億円、立憲民主党68億円、日本維新の会33億円、公明党28億円、そして小政党のれいわ新選組にも6億円強が支出されている。
使途は政治目的に限られ、使途を報告する義務がある。しかし、使途の振り分け――すなわち企業や個人からの献金部分(政治資金)との項目分けは、政党・政治団体側が判断するので、実質はどんぶり勘定である。
世界を見回してみると、議会制民主主義の生みの親である英国も実施しているが、総額3億円弱程度、米国にはこんな制度はない。ドイツやフランスは制度を採用しているが、各々174億円、98億円を助成していても企業献金を認めていない。日本は突出して大盤振る舞いを続けている。
300億円とは大金である。まじめに働く国民や企業にしてみれば、この金額を稼ぎだすのにどれほどの労苦がかかっていることか。その大切な税金の一部を使って政治を行う。ある意味、私的団体(パーティ)のはずの政党が「官営政党」になっているのである。
昔のような「金権政治」はなくなったが…
基本は、国会議員が5人集まれば助成されることになっており、本来、「政治とカネ」の問題を切り離す大切な手段だったものが、国から支給されるボーナスのように成り下がっているのではないか。強い違和感を覚える。これほどの税金を使うのであれば、官営政党はもっと早く裏金問題など襟を正すべきであるし、その責任が重いのである。
たしかに現在、この政党助成金のおかげで、政治家の一大疑獄事件といったものは減った。無くなったと言っていい。かつてのごとく政治家が億単位で金を集め、その金で子分を養い派閥を大きくし、自民党で過半を制することで政権をとり、総理大臣になるという道は塞がったように見える。
だが、決して褒められたことではないが、かつての政治家は「数は力」「力はカネ」とばかり必要に迫られて自分で金をつくってきた。その意味では、リアルな経済活動(政策も含めて)に明るかった。
渡辺美智雄などは、某証券会社を通じて株をマーケットに張っており、彼が大蔵大臣として採用する政策は市場直結であった。自分の財布と日本経済が連動しているのであるから、その景気対策などに心棒が入っているのは当然である。魂が籠もっていると言い換えてもいい。政策実行そのものが必死であった。