Jフロント会長の奥田務の目には、現在の消費者意識はどのように映るのか。
「バブル崩壊までの日本は、『隣が買うから私も買おう』という、ブランド志向の強い、ある種発展途上国型の消費だったと思います。バブル崩壊後、そういった志向は薄れていきましたが、そこにリーマンショックが一気に後押しをして、『使うお金に対してどれだけ期待に見合う価値があるのか』『本当に必要なものを厳選して買う』という、バリュー消費と呼ばれる欧米型の価値観に日本が近くなっているのだと思います」
デパ地下の食料品から、化粧品、家具まで取り揃える百貨店だが、収益の一番の源はファッション。百貨店全体の収益の中でも、衣料品の売り上げシェアは約4割、さらに婦人服はそのうちの3割を占める。当然、百貨店内には数多くのファッションブランドが売り場を連ねる。
我々一般消費者はまったくわからないが、実は百貨店の運営にはふたつのまったく違う形態が混在している。それは「自主運営」と「ショップ運営」である。
自主運営とは、社内の専門バイヤーが自ら品揃えを決め、自らメーカーに買い付けをする。仕入れた商品はまた社内の販売員が自ら売る。従来の百貨店ではメーンの運営形態である。しかし、収益率は高いが、商品在庫を自分で負担しなくてはならないリスクもある。