「百貨店など、若い人は誰も行かない」――。消費不況と高齢化のダブルパンチから長期間にわたって低迷する百貨店業界。最低最悪のマーケット環境にあって躍進し始めたまったく新しいビジネスモデルの本質を明らかにする。
うふふガールズ成功の秘密
Jフロントは11年に「ショップ運営統括部」と「自主事業統括部」を発足させた。従来の百貨店の体制は、婦人服のフロアなら婦人服と、フロアごとにショップ運営も自主運営も入り乱れた、横に分かれた組織であった。しかし、2つの統括部を発足させたことによって、紳士も婦人も関係なく、ショップ運営と自主運営、この2つの運営方法で組織が分かれることになった。
つまり「自主運営とショップ運営どちらも混ぜた婦人服担当」ではなく、紳士、婦人に関係なく、「自主運営」か「ショップ運営」かで、縦に分かれた組織への改革である。
「ショップ運営」を担当するのが、営業本部MD戦略推進室ショップ運営第一統括部商品部長の竹原幹人だ。いかに顧客が求めるブランドを誘致するかに日々頭を悩ませている。
百貨店の収益の要であるファッション部門。日本人の消費が欧米化し、身の丈志向に意識が変化すると、ファッションスタイルは細分化し、流行の大きな波は、独自性を持った細かな波に変わってきた。これにより、ファッションは「着たいものを着る」個性化が進み、消費者が求めるブランドの数は増えた。奥田務会長はコストを削減することによって求められるブランドを積極的に入れることができるようになったと言うが、今まで百貨店が入れることのできなかったブランドの新規開拓にあたって、百貨店とブランドと双方の意識の壁を取り払うのに苦労も多かった。
「新しく誘致したいブランドさんに名刺をお持ちしても、百貨店というだけで難色を示される、というようなことが多々ありました」(竹原)
百貨店になかったブランドを誘致するということは、裏を返せばブランド側も百貨店に出店した経験がないということだ。そういったブランドが、百貨店への出店を渋る理由の1つがまず「客の年齢層が高い」というイメージだった。